2007年10月29日月曜日

魔のサンフランシスコ

ハロウィーン前の土曜日、サンフランシスコのカストロ・ストリートは、仮装したゲイやレズビアン、ストレートたちで入り乱れ、混沌とした状態でした。巨大ペニスのコスチュームを全身にまとった人や、バスタブを腰にまとって金色のリボンをカツラにした「ゴールデンシャワー」女王や、吹き飛んだ傘とネクタイをイメージした「I was blown」の男性など、ゲイってなんでこんなにクリエーティブでユーモアのセンスにあふれるんだろうって感心しきり。一緒にカストロストリートを練り歩いた地元住人のブルースに言わせると、「他にすることがないから」というクールな反応。(ちなみに、昨年、ハロウィーンの夜に発砲事件があって一人が死亡したのだとか。そのため、今年はカストロでのハロウィーン・パーティーはキャンセルされたらしい。だから、余計にこの土曜日は盛り上がったのかも。)

この晩、ジェームス、ブルース、そして僕の3人は、カストロストリート近くにあるスシ・レストランのBarracudaに予約を取った。中は仮装した客も入り混じって、サンフランシスコならではの多様ぶり。店の真ん中にある4人席に腰掛け、メニューをみながら歓談していると、僕の正面にイケテル男性が座っていた。よく見ると、それはクリス・・・。unbelievable。

クリスは、このブログを書き始めるきっかけにもなった人で、3回目のブログにさっそく登場している。その後もここで何度も紹介している。最初に彼のことを紹介したのは2004年8月のブログだけど、確かクリスに最初に出会ったのは2003年の10月、まさにハロウィーンの季節!その後も、たまにバーチャットで遭遇するということを繰り返しながら嫌な思い出だけを引きずってきました。

あれからかれこれ3、4年。またしてもハロウィーンの季節にすし屋で遭遇。ただし、場所が東海岸から西海岸に大移動していたけれど。

一回目が合って、互いにどこかで見たことがある顔だな・・・と考えること数秒。また目が合って僕が手を振ると、向こうも笑顔で合図。それから、僕はジェームスとブルースにクリスのことを話したけど、僕は心中穏やかになれず妙にはしゃぎモード。話題はすっかり別のことになってしまっていたのに・・・。心理カウンセラーのブルースは、僕の波立つ心を繊細に感じ取ったみたいで妙に無言に・・・。僕も余計にバツが悪くてせっかくのディナーがお通夜みたいになってしまった。

クリスは、アジア人のボーイフレンドと一緒に赤ワインをボトルで頼んで飲んでいた。僕らが食事の真っ最中のとき、クリスは僕に挨拶にやってきた。食後何も言わずにレストランを出るかなと僕は思っていたので不意を突かれた。

「やあ、元気にしてた?」とクリス。

「クリス、久しぶり」と僕。

「ゴメン・・・君の名前覚えてないんだ・・・」

ま、4年以上前になるし、日本の名前を英語名にしようとクリスが知恵を絞ってくれたことなんて向こうは覚えてないのも、ま、しょうがないでしょう。変なデートだったしさ。で、話を聞くと、この5月に東海岸からサンフランシスコに引っ越したのだとか。僕がクリスに出会ったときは法科大学院の夜間に通っていたけど、きっと無事に弁護士資格がとれてカリフォルニアで弁護士をしているんでしょう。そして、クリスはデート相手のアジア人男性を僕に紹介してくれた。彼は僕に名刺をくれ、そこには歯医者という文字。弁護士と歯医者。プロフェッショナル&リッチなゲイカップルの典型。ま、お幸せにって感じだね。

数年前、サンフランシスコに出張に来たときも、ニューヨークのゲイバーで知り合ったネタリオっちゅー、児童心理学の教授をしている人とばったり再会したしなぁ。サンフランシスコって、やっぱりゲイにとって巡礼の地っていうか、最後の楽園っていうか、promised landなんだろうな。それにしても、クリスとの再会は、ハロウィーンの魔力がなした業としか思えない出来事だった。

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